バッグの奥で眠ってたお薬手帳が、なぜか今の私より正直だった理由
婚活アプリより正直だった、私のお薬手帳の話
4月30日。
暦の上では、春の終わりに近づく頃です。
もうすぐ八十八夜も近く、新茶の季節がふわっと顔を出す時期です。
あたたかい日差しに安心したと思ったら、急に風が冷たくなったり、黄砂や乾燥で喉がいがいがしたり。
春って、かわいい顔をして、けっこう体に厳しい季節です。
最近はニュースでも、花粉・黄砂・乾燥・強風・寒暖差の「春の5K」による不調が話題になっています。(参考・・・テレ朝NEWS)
さらに若い女性の間では「お薬手帳界隈」という、少し意外なトレンドも出てきているようです。
そこで今日のテーマは、あえてこれです。
お薬手帳。
正直、30代女性のブログで真正面から書くには、ちょっと地味です。
映えません。
香水でもないし、カフェでもないし、韓国コスメでもありません。
でも、だからこそ書きたいのです。
お薬手帳を見返したら、私の“がんばりすぎ履歴”が全部残っていました
かわいいケースに入れた瞬間、急に生活感が味方になった
お薬手帳って、ずっと「病院に行くときだけ必要なもの」だと思っていました。
バッグの奥で折れ曲がっていて、診察券と一緒にぐしゃっとなっている。
薬局で「お薬手帳ありますか?」と聞かれて、毎回ちょっと慌てる。
そんな存在でした。
でもある日、ふと思ったのです。
これ、私の体のメモ帳なんじゃないかと。
婚活アプリには、趣味、休日の過ごし方、好きな食べ物を書きます。
でもお薬手帳には、寝不足だった季節、肌荒れがひどかった月、花粉に負けた春、胃がきゅっとなった冬が残っています。
それって、かなり正直なプロフィールです。
かわいいポーチに入れてみたら、不思議と少しだけ気持ちが変わりました。
生活感のかたまりだと思っていたものが、私を守る小さなお守りみたいに見えたのです。
風邪の記録より、無理していた時期のほうが目立っていた
ページをめくると、思った以上に記録が残っていました。
風邪薬。
胃薬。
花粉症の薬。
皮膚科でもらった塗り薬。
眠れなかった時期に相談した記録。
私はそのとき、少しだけ黙りました。
「私、こんなに体調を崩していたんだ」
でも同時に、こうも思いました。
「それでも仕事に行ってたんだ」
接客業をしていると、多少しんどくても笑います。
美容の仕事をしていると、自分の肌が荒れていても、人にはきれいを届けようとします。
飲食の現場では、胃が痛くても「いらっしゃいませ」と声を出します。
お薬手帳には、そんな日々の裏側が静かに残っていました。
誰にも見せなかった疲れ。
LINEでは「大丈夫」と返した夜。
メイクで隠した肌荒れ。
休日に寝込んで、何もできなかった午後。
キラキラした日記より、よほど私に正直でした。
婚活プロフィールより、お薬手帳のほうが私を説明していた
婚活をしていると、自分をよく見せることに慣れてしまいます。
写真は明るいものを選ぶ。
文章は重くなりすぎないようにする。
「休みの日はカフェ巡り」と書く。
本当は、予定のない日は洗濯物を見ないふりして、スマホを握ったまま寝落ちしているのに。
でも、お薬手帳は盛れません。
「この時期、無理してました」
「この季節、毎年弱いです」
「ストレスが肌に出ます」
「胃腸が意外と繊細です」
全部、静かに書いてあります。
それを見たとき、私は少し笑ってしまいました。
婚活で必要なのは、完璧な自己紹介じゃなくて、こういう自分をちゃんと知っていることなのかもしれません。
元気な私だけを見せようとしなくていい。
疲れやすい私も、季節に揺れる私も、ちゃんと私です。
最後に見つけた1枚のシールで、私はちょっと泣きそうになった
ページの最後に、貼り忘れていた薬のシールが1枚だけ挟まっていました。
日付は、去年の春。
ちょうど仕事で無理をして、婚活もうまくいかなくて、毎晩スマホを見ながら自己嫌悪していた頃でした。
そのシールを見た瞬間、私は思いました。
「あの頃の私、ちゃんと病院に行ってたんだ」
強い人みたいにふるまっていたけれど、ちゃんと助けを借りていました。
平気なふりをしながら、ちゃんと自分を放っておかなかったのです。
そして、ここで少しだけびっくりすることがありました。
私はそのお薬手帳を、これからの健康管理のために見返していたつもりでした。
でも本当は違いました。
これは、体調の記録ではなく、
私が私を見捨てなかった証拠でした。
お薬手帳なんて地味だと思っていました。
でも、そこには美容液よりも、婚活アプリよりも、日記よりも、ずっと深い私がいました。
バッグの奥で折れ曲がっていた小さな冊子。
それは、弱った私を何度も薬局まで連れて行ってくれた、過去の私からの手紙だったのです。
だから私は今日、そのお薬手帳を新しいケースに入れました。
誰かに見せるためではありません。
未来の私がまた少し疲れたときに、こう思えるように。
「大丈夫。前の私も、ちゃんとここまで連れてきてくれたよ」

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