ちゃんとしてるのに満たされない夜に、少しだけ変われる気がした|ニフコーヒーお試しセットで始めるゆるい整え習慣
夜の九時すぎ、駅前のコンビニを出たところで、紙コップのコーヒーを買おうとして、やめた。
春なのに風が少し冷たくて、レジ横のケースから漂ってくる揚げ物の匂いがやけに強くて、ネイルの先に残ったシャンプーみたいな匂いと混ざって、なんだか気持ちが落ち着かなかった。
仕事で最後に受けたお客さんが、悪い人じゃないのに、帰り際にぽつっと「お姉さん、疲れてる?」と言った。
その一言が、電車を降りてからもずっと服の裏側に貼りついたままみたいで、うまく剥がれなかった。
疲れてる、なんて、自分がいちばん知ってる。
知ってるのに、そう言われると少し恥ずかしい。
ちゃんとして見えるように前髪を整えて、声のトーンも落としすぎないようにして、一日をなんとか終えたあとで、見透かされたみたいな顔をするのはやめてほしい、と勝手に思った。そんなことを考える自分も、あんまり感じがよくない。
部屋に帰ると、朝のままのマグカップがシンクに残っていて、カーテンのすき間から入る街灯の色だけがやけに白かった。
ベッドに座ってスマホを開いたら、同い年くらいの女の子が、朝のルーティン動画で丁寧にコーヒーを淹れていた。白いケトル、静かな音楽、余白のあるキッチン。
ああいうのを見るたびに、私の生活はいつも少しだけ負けた気がする。別に勝負なんてしてないのに。そういう小さな嫉妬って、誰にも言わないまま、たいてい喉の奥に残る。
その夜は、なんとなくネットでコーヒーを見ていた。
眠れないときに服を見たり、転職サイトを開いたり、マッチングアプリをだらだら眺めたりするのと、たぶん同じ種類の行動なんだと思う。
今すぐ人生が変わるわけじゃないのに、何かひとつ選べば、少しだけ明日の機嫌が変わるかもしれないと期待してしまう、あの感じ。
そこで見つけたのが、ニフコーヒーのお試しセットだった。
■>>ニフコーヒー|コーヒーお試しセット販売はこちら
初回限定で、送料込み、3種類のスペシャルティコーヒーを飲み比べできるセットで、価格は1,000円。内容は「ふつう」「ふかいり」「とくべつ」の3種が各40gずつ、合計120gで、だいたい10〜12杯分らしい。産地カードや、初心者向けの淹れ方ガイドも入っていて、豆のままか粉に挽くかも選べるらしい。こういう“ちゃんと気が利いてる感じ”に、私は弱い。
高すぎないのに雑でもない、その絶妙さに、生活を立て直せるかもしれないと一瞬だけ思ってしまう。
コーヒーが好き、と胸を張って言えるほど詳しくはない。
朝はだいたい時間がなくて、休みの日ですらインスタを見ながらぬるくなったコーヒーを飲んでいるし、味の違いも、正直、ちゃんとはわからない。でもわからないなりに、最近ずっと思っていた。何かを好きになる余裕が減ってるな、と。
恋愛もそうで、好きになる相手だけちょっと雑だったり、返信の早さで気分が揺れたり、自分でも情けないなと思う夜がある。
美容もそうで、ちゃんとやらないと下がっていく気がして焦るくせに、帰宅したらソファでスマホを握ったまま動けなくなる。コーヒー一杯にまで丁寧さを持ち込める人を見ると、あれは余裕のある人の趣味なんじゃないか、とひねくれたことまで思ってしまう。
でも、ニフコーヒーの説明を読んでいたら、少しだけ気持ちが変わった。
Nif Coffeeは、焙煎したてのスペシャルティコーヒーを日常に、という考え方で、品質と価格、鮮度のバランスを大事にしているらしい。
“特別な一杯”というより、朝や仕事の合間、食後に自然と手が伸びるコーヒーを目指していると書かれていて、その感じが、妙によかった。
頑張った人だけがたどり着ける丁寧な暮らしじゃなくて、少し疲れている日にも混ざってくれる飲み物、みたいで。
たぶん私は、コーヒーそのものより、そういう言い方に救われたんだと思う。
ちゃんとした人になりたいのに、毎日はそんなに整わない。
部屋は散らかるし、食事は適当だし、婚活アプリでは笑顔の角度ばかり気にして、会ったあとに「また本命にはならなそうだな」と勝手に落ち込む。
職場では気を遣って、愛想よくして、帰り道では無音のスマホを何度も見てしまう。
そんな一日の終わりに、すごく立派なことはできないけれど、お湯を沸かして、袋を開けて、香りをちゃんと吸い込むくらいなら、もしかしたらできるかもしれない、と思った。
“これならできそう”って、少し地味だ。
人生を変えたいとか、垢抜けたいとか、選ばれたいとか、そういう大きい願いの前では、コーヒーを淹れるなんて小さすぎて笑ってしまうくらいかもしれない。
でも、小さいからこそ手が届くこともある。
お試しセットは、いきなり定期便じゃなくて、少量で味を確かめられる形になっていて、好みを失敗なく探したい人向けらしい。
通販のコーヒーってちょっと怖い、酸っぱすぎたらどうしよう、深すぎたら飲めないかも、みたいな警戒心がある私には、その“試せる感じ”がちょうどよかった。
しかも発送当日に製造した豆を送り、ネコポスで届く仕様らしい。ポストに入っているだけで少しうれしくなるものって、たまにある。
それでも、たかがコーヒーだよな、と思う自分もいる。
飲んだからって、急に肌のくすみが消えるわけでもないし、好きな人から誠実な連絡が来るわけでもないし、将来の不安が片づくわけでもない。明日の私はたぶんまた、仕事の帰りにコンビニの前で少し立ち止まって、何に疲れているのかよくわからないまま夜を迎える。
■>>ニフコーヒー|コーヒーお試しセット販売はこちら
それでも、疲れていることを隠し続けるよりは、疲れている自分のために何か小さく選ぶほうが、少しだけまともなのかもしれない。
そう思った瞬間、朝のルーティン動画に感じていたあの嫌な嫉妬が、少しだけほどけた。あの人みたいになりたいんじゃなくて、私は私の夜を、これ以上雑に扱いたくなかっただけなのかもしれない。
大人って、何をきっかけに少しずつ整っていくんだろう。
大きな決意じゃなくて、こういう誰にも見せない買い物だったりするんだろうか。
それとも、整えようとしているふりをしながら、本当はただ、寂しい夜に理由をつけているだけなんだろうか。
コーヒーの味の違いなんて、私にはまだうまく言えない気がする。
でも、ふつう、ふかいり、とくべつ、という名前の並びは、少しだけ今の自分に似ている。
毎日の顔をした私と、少し無理をしている私と、たまにしか出てこない私。
どれがいちばん本当なんだろう、と思いながら飲む一杯は、たぶんただの飲み物じゃなくなる。
また、何も変わらない朝が来るのかもしれない。
それでも、ポストの中に小さな箱が届く日くらいは、少しだけ先に進んだ気になれる。

コメント