「選ばれる自分」になろうとした瞬間、だいたい迷子になる

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夜のコンビニって、なぜか心の音が大きくなる。

レジ横のホットスナックの匂い、冷蔵棚から漏れる白い光、カップ麺の棚の前で立ち止まる人の背中。

私はその中を、いつものルーティンみたいな顔で歩いて、いつもの炭酸水を手に取った。

外は12月の空気で、息が薄く白い。

コートのポケットに指を突っ込んで、スマホだけ握って歩く帰り道。イヤホンをつけているのに、音楽は流していない。流す元気がない日もある。むしろ流さないほうが、自分の声が聞こえる気がして。

その日、私は一つだけ、どうしても消せないモヤっとしたものを抱えていた。

帰り道の街灯がやけに明るく見えるほど、心の中の影が濃かった。

思うのは、
「選ばれる自分にならなきゃ」って考え始めた瞬間、だいたい迷子になる、ということ。

ついさっきまでの私が、そうだった。

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今日の“うまくいかなかったこと”は、たぶん「頑張り方」を間違えたことだった

昼休みに、友だちから「この前の人どう?」って聞かれた。

“この前の人”っていうのは、最近やりとりしていた人のこと。悪い人じゃない。むしろ丁寧で、返信も早くて、質問もしてくれて、いわゆる「ちゃんとしてる」側の人。

だから、私は答えるとき、ちょっと背筋を伸ばすみたいに言った。

「うん、普通にいい感じだよ」って。

でも、その“普通に”の中身を、私は自分でもちゃんと見ていなかった気がする。

夜、メッセージが来た。

「今週のどこかで会える?」

予定を聞かれただけなのに、胸の奥が小さくざわついた。

会いたくないわけじゃない。

でも、会うって思った瞬間に、頭の中で“準備”が始まる。

どんな服にしよう。

どういうテンションで行こう。

話題は何を用意しよう。

変に思われないように、笑うタイミングを逃さないように。

沈黙ができたら、私が埋めなきゃ。

…ねえ、これって。

会う前から、すでに疲れてる。

私は返信欄を開いて、すぐに閉じた。

少し置いてからまた開いて、結局「今週は仕事がバタバタで…」と、ふんわりした文章を打った。断ってはいないのに、約束もしない文章。自分でも、逃げてるのがわかる。

そして、送信した瞬間、さらにモヤっとした。

“会えばいいじゃん”って声が、頭の中にいる。

“チャンス逃してない?”って声もいる。

“選ばれたいなら、ここで頑張らなきゃ”って声が、いちばん大きい。

でも同時に、胸の奥で、別の小さな声がする。

「それ、恋愛じゃなくてオーディションになってない?」

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頑張って好かれようとすると、私の中で起きること

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頑張って好かれようとすると、私はだいたい、同じパターンに入る。

それはもう、見慣れた自分の癖みたいに。

無理して笑う。
本音を飲み込む。
違和感を見ないふりする。

最初はうまくいく。
“感じのいい人”になれる。

相手も優しい。話も途切れない。嫌われる要素がない。

だから私は、「これが正解なんだ」って思ってしまう。

でも、帰り道にどっと疲れる。

家のドアを閉めた瞬間、顔が真顔に戻る。

鏡を見て、メイクより先に、笑い方が残ってる気がして、怖くなる。

その疲れは、睡眠じゃ取れない種類のやつだ。

体力じゃなくて、“自分”が減っていく感じ。

そして次の日、LINEの通知が鳴るだけで、ちょっとだけ心臓が固くなる。

返したくないわけじゃない。

でも返すってことは、また“感じのいい私”を起動することだから。

この感覚を、私は何度も繰り返してきた気がする。

そのたびに思う。

「なんでこんなにしんどいのに、私はまた同じことするんだろう」って。

たぶん、理由はシンプルだ。

怖いから。

好かれないのが怖い。

失敗したって思うのが怖い。

何も起こらないまま時間だけ過ぎるのが怖い。

だから私は、頑張る。

頑張って“うまくやる”。

でも、その“うまく”は、誰のためのうまくなのか、途中でわからなくなる。

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「選ばれる」って言葉が、いつからこんなに重くなったんだろう

「選ばれる自分にならなきゃ」って言葉って、便利だ。

目標みたいに聞こえるし、成長っぽく見えるし、努力の方向性がある気がする。

でも、この言葉を握りしめた瞬間、恋愛が急に“試験”になる。

評価される前提で動く。

減点されないように振る舞う。

正解を出そうとする。

いつの間にか、相手が“好きかどうか”より、
「私が合格できそうかどうか」の方を考え始めてしまう。

そうなると、感情って、ほんとに薄くなる。

嬉しいはずの誘いが、“課題”に見える。

会えることが、“審査日”になる。

頑張って好かれようとすると、私は相手のことをちゃんと見ていない。

見ているのは、相手の表情と、自分の立ち振る舞いだけ。

それはもう、恋愛じゃなくて、オーディション。

そして私は、オーディションが下手だ。

というか、たぶん誰だって、素の自分でいるほど、オーディションは下手になる。

だって、素の自分は、練習してないから。

取り繕った自分は、何度も練習してきたから。

笑い方も、受け答えも、テンポも。

“好かれるための型”を、いつの間にか覚えてしまっている。

でも、その型で好かれたとき、ふと怖くなる。

「今の私を好いてくれてるのって、どっち?」って。

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最近、私が自分に聞く質問が変わった

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最近は、基準を一つに絞っている。

「この人の前で、素の私でいられる?」

これだけ。

“素の私”って言っても、別に全部さらけ出すって意味じゃない。

泣くほど弱い部分を見せるとか、重い話を初回からするとか、そういうことじゃなくて。

ただ、無理に笑わなくていいか。

会話の間が怖くないか。

言葉を選びすぎなくていいか。

「これ言ったら嫌われるかな」って思わなくていいか。

その人の前にいるときの自分が、
“縮こまっていないか”だけを見てる。

この基準にしてから、楽になった部分がある。

合わない人に好かれなくても問題ない。

合う人にだけ、ちゃんと届けばいい。

そう思える日は、息が深くなる。

でも正直、いつもそう思えるわけじゃない。

強がってる日もある。
「大丈夫、大丈夫」って言い聞かせて、ぜんぜん大丈夫じゃない日もある。

焦りは、消えない。

30歳って、数字が勝手に圧をかけてくる。

周りの結婚報告、妊娠報告、家を買った話。

SNSでは「自分軸で生きよう」って言葉が流れてくるのに、
現実の私は、普通に揺れる。

揺れるのに、揺れてる自分を恥ずかしく思ってしまう。

「私はもっと大人で、落ち着いてるはず」って。

でも、落ち着いてるふりをして、無理して笑って、
本音を飲み込んで、違和感を見ないふりして、
結局疲れてしまうなら。

私は、もう少し揺れていてもいいのかもしれない。

「焦らなくて大丈夫」って言葉を、私はたぶん何度も疑っている

「焦らなくて大丈夫」って言葉は、優しい。

でも私は、たぶんこの言葉を疑っている。

だって、焦ってしまうから。

焦らない人になれないから。

焦ることを責めると、さらに焦る。

だから私は最近、焦りを“消す”んじゃなくて、
焦りと一緒に座るみたいな気持ちでいる。

焦ってる自分を否定しないで、
「そっか、今焦ってるんだね」って、ただ認める。

不思議だけど、それだけで少し楽になる。

焦りって、追い払おうとすると大きくなる。

抱きしめようとすると、少しだけ静かになる。

そして、焦りが静かになったときにだけ、
ちゃんと見えることがある。

“選ばれる”っていう視点は、いつも外側にある。

でも、“合う”っていう視点は、内側にある。

外側の目ばかり気にしていると、私は迷子になる。

内側の感覚に戻ってきたときだけ、私は戻れる。

戻れるって言っても、完璧にじゃない。

ただ、「今の私は無理してない?」って、自分に聞ける状態に戻る。

それができた日は、
たとえ何も進展がなくても、
自分のことを嫌いにならずに済む。

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私はまだ答えを出していない。ただ、ひとつだけ思う

今日の私は、結局、はっきり約束をしなかった。

それが正解だったのかは、わからない。

逃げだったのかもしれないし、慎重だったのかもしれない。

でも、ひとつだけ確かなのは、
“無理して笑う自分”の未来が、あまり幸せそうに見えなかったこと。

恋愛って、もっと、呼吸みたいなものだったはずなのに。

がんばって吸い込む空気って、苦しい。

私は、誰かに選ばれたい。

その気持ちは、なくならない。

なくならなくていいと思う。

だけど同時に、
私が私を失ってまで選ばれるなら、
それはたぶん、選ばれたあとも苦しい。

「この人の前で素の私でいられる?」
この質問に、すぐ答えが出ない人もいる。

会ってみないとわからないこともある。

“素”って、時間が作る部分もある。

だから私は、今日も答えを出し切らない。

ただ、少しだけ気づいたふりをする。

幸せは、“急いだ人”より“自分を知ってる人”に来る。

そう言い切れるほど強くはないけど、
そうであってほしいって、思ってしまう。

そして、そう願う自分がいる限り、
私はまだ、迷子の途中にいる。

余韻だけ残す一文

選ばれるために走るより、
「私はここにいる」と自分に言える速度で歩きたい。